《书画释疑》连载十三·水墨相济 笔墨相融文/盛欣夫
水墨相济,笔墨相融。色墨相辅,纸墨相彰。
赵孟頫①称:“古人作字,多不用浓墨,太浓则失笔意。”此说颇有道理。若要层次,墨分五色。必是淡墨方可。浓墨蘸水,或先水后墨,各有效果。软硬毫又不同其性,水墨比率又与速度相关。用到好处,常出奇效。
笔墨手札之三十八。戊子撰,庚子阳月鱼公盛欣夫并记。
①赵孟頫(1254—1322),字子昂,号松雪道人,湖州(今属浙江)人。元书画家。
【日语译文】
水と墨が調和し、筆と墨が互いに融合する。
色と墨が互いに補完し、紙と墨が両々相まつ。
趙孟頫は「古人作字、多不用濃墨、太濃則失筆意」(昔の人は字を書くとき、墨を濃くしなかった。もし墨が濃すぎると渋くて滑らかに書けず、筆意を失うからである)と述べている。この話はなかなか筋が通っている。層を求めるなら墨を五色に分ければいいのである。必ず薄墨でなければならない。濃い墨は水をつけて、あるいは先に水、後で墨をつけるが、それぞれ効果がある。毛質の軟硬によっても異なり、水墨の比率はまた速度とも関係がある。うまく使うと、殊にすばらしい効果がしばしば現れる。
筆墨自書の三十八。戊子撰、庚子陽月魚公盛欣夫記す。
黑处要透光,密处要通气。
知白似有物,守黑藏玄机。
佛教中色即是空,道教可无中生有。那是一道哲学命题,需要辩证思考。中国书画亦如是。知白守黑,计白当黑,知己知彼。荷叶下无一笔着墨,却看时满满一池春水,非但是水,还是春水,因小荷才露尖尖角。若是枯荷,那必是秋水。这因是中国书画,中国文化,这水墨黑白间处处蕴涵着哲学理念。
鱼公笔墨手札之卅九。戊子撰,庚子纯阳崇德盛家木桥鱼公盛欣夫于鱼公书院。
黒い所には光を通し、密な所には気を通す。
白を知り、物があるがごとし、黒を守り、玄妙なる道理を守る。
仏教では色はすなわち空であり、道教では無から有が生み出される。それは哲学の命題であり、弁証法的思考が必要である。中国の書画もこれと同じである。白を知り黒を守り、白を黒とし、彼を知り己を知る。蓮の葉の下には一筆の墨の迹もないのに、池いっぱいに春の水が満ち満ちている。しかも、水蓮の葉の尖った先が少し出ているだけで、それは単なる水ではなく、春の水なのだ。もし枯れた蓮なら、それはきっと秋の水だ。これが中国の書画、中国の文化で、この水墨の白と黒の間には至るところに哲学の理念が含まれている。筆墨自書の三十九。戊子撰、庚子純陽崇徳盛家木橋魚公盛欣夫が魚公書院で。
计白当黑反着瞧,无画须作有画看。
密不容针墨无多,疏可走马笔非少。
从侧面观察事物,或能更接近真相。从字画的留白处去看布局,或能明白其合理性。计白当黑,换位思考。于书画用墨,是最佳尺度,哲学境界耳。
笔墨手札之四十。戊子撰,庚子麦月鱼公并记。
白を計り黒とあたり、白を黒として見、絵が
なくても絵があるものとして見る。
針も入らないほど密なのは墨が多いためではなく、馬が通れるほどまばらなのは筆画数が少ないためではない。側面からものを観察すれば、更に真実に近づくことができるかもしれない。字画の余白からレイアウトを見れば、その合理性が分かるかもしれない。白を黒とし、位置を変えて考える。書画に墨を用いるその最良の尺度は、哲学の領域に属す。
筆墨自書の四十。戊子撰、庚子麦月魚公記す。
墨重见浑厚,
淡雅生逸气。
清人王原祁①在《西窗漫笔》中说:“笔肥墨浓者谓之浑厚,笔瘦墨淡者谓之高逸。”肥瘦轻重,各有其美。重在适当。过或少,得其反。俗话讲“千钿难买正好之”。然凡书家、画人所追求的,就是“正好之”。有了正好,才谈格调、格局、古气、自然。
笔墨手札之四十一。庚子维夏梦斋盛欣夫于甬上。
①王原祁(1642—1715),字茂京,号麓台、石师道人,太仓(今属江苏)人。王时敏孙。清初画家。
重墨で雄渾が見え、
薄墨で飄逸が生ず。
清人の王原祁は『西窓漫筆』の中で、「筆肥墨濃者謂之渾厚、筆痩墨浅者謂之高逸。」(筆が墨を多く付けるは重厚、墨が少なければ文字は高雅に)と述べている。肥痩軽重それぞれに美しさがあるが、大切なのは適当であることである。過多と不足は美しくはない。「千钿難買正好之」(いくら出してもほど良さはなかなか手に入らない)ということわざがある。しかし凡そ書家、画家が追い求めるのはその「ほど良さ」なのである。ほど良さが得られてはじめて、格調、構造、古さ、自然さを語ることができる。
筆墨自書の四十一。庚子維夏夢斎盛欣夫が寧波で。
笔墨格调,重在文雅。
高古静穆,不彰不露。
内涵稳重,自然天成。
方向既明,目标可定;取法勿杂,灵动精巧;轻涩淡雅,或可厚重。唐人张彦远①说:“多骨微肉者谓之筋书,多肉微骨者谓之墨猪。”(《法书要录》)何取何舍,渐趋明了。可以拒绝弯路,起码少些无效劳动。
笔墨手札之四十二。庚子花残月鱼公盛欣夫于明州领秀熙城。
①张彦远(815—907),字爱宾,蒲州猗氏(今山西临猗)人。唐画家。
筆墨の格調、文雅を重んじる。
高古静粛、奥深さを持つ。
内包は穏重、自然になりゆく。
方向が明らかであれば、目標を定めることができる。法を取るのに繁雑ではならず、変化に富み、精巧であるべきである。あっさりしていても重々しくしてもいい。唐人の張彦遠は「多骨微肉者謂之筋書、多肉微骨者謂之墨猪」(骨が多く、肉が少ないのを「筋書」といい、肉が多く、骨が少ないのを「墨猪」という)(『法書要録』)と言っている。何を取って何を捨てるかは、次第に明らかになるものである。回り道を拒み、少なくとも無益な働きはしなくて済むであろう。
筆墨自書の四十二。庚子花残月魚公盛欣夫が明州領秀熙城盛庄で。
盛欣夫,字甫之,号鱼公。堂号盛庄、梦斋、惕庐、子鱼堂。1949年1月(戊子除夕)生于浙江桐乡(崇德)盛家木桥。书坛名宿邹梦禅弟子,国家一级美术师。中国书法家协会会员,当代作家联会理事,中国武术协会会员,浙江当代中国画研究院副院长,宁波财经学院教授,宁波大学客座教授,政协海曙区第二、三、四届专家型特聘委员,海曙书画院副院长,中国渔业协会渔文化分会理事,宁波渔文化促进会艺术中心副主任,桐乡市书法家协会名誉主席,景德镇鱼画陶瓷研究院名誉院长,鱼公书院院长。
数十年躬读老庄,用心晋唐,意会晚明,深研楚简,独钟简草,书画自己。或书,或画,或文,或陶瓷绘,其实只为书画一件事,人生七成在笔墨。如是走来,乐在其中。曾获"中国书法百杰"称号、第二届中国书法兰亭奖•教育提名奖、嘉兴市人民政府艺术教育成果奖。鱼瓷作品与鱼类绘画双获农业部、中国渔业协会金奖。2019年,书画六件(组)入藏浙江省博物馆等。
主要著作有《甫之识联》《鱼谱》《鱼瓷》《国画蔬果鱼类技法丛谱》《行草十八要旨》《盛庄艺文)(独写人生》(书写入心》《鱼公书画集丛》等30余种。
格言:顺其自然 必有自我
作者の紹介
盛欣夫、字は甫之、号は魚公。堂号は盛庄、夢斎、惕廬、子魚堂。1949年1月(旧曆戊子年の大晦日) に浙江桐郷(崇徳) の盛家木橋に生まれた。書壇の名人でめり権威であった鄒夢禅の弟子で、国家一級美術師である。中国書法家協会会員、当代作家聊谊会理事、中国武術協会会员、浙江当代中国画研究院副院長、寧波財経学院教授、寧波大学客員教授、政協海曙区第二、三、四期専家型特任委員、海曙書画院副院長、中国漁業協会漁文化分会理事、寧波漁文化促進会芸術センター副主任、桐郷市書道家協会名誉主席、景徳鎮の魚の絵の陶磁器研究院名誉院長、魚公書院の院長です。
数十年にわたり老莊をひたすらに読み、晋唐の文化を体得し、明末の文化を理解し、楚簡(竹簡)の研究に動しみ、草書を専らし、自身を書画で表現してきた。書、画、文、陶磁器の絵をのすが、ただ書画に心をこめ、筆と墨の人生を歩んできたが、楽しさはその中にあった。かつて、「中国書法百傑」の称号を与えられ、第二回中国書法蘭亭賞·教育賞にノミネートされた。魚の陶磁器作品と魚類の絵画がいずれも農業部、中国漁業協会の金賞、嘉興市人民政府芸術教育成果賞を受賞。2019年、書と絵六点(組)が浙江省博物館などに所蔵品として収められた。
主な著作には、『甫之識聯』『魚譜』『魚磁』『国画野菜·魚類技法羲譜』『行草十八要旨』『盛庄芸文』『独写人生』『書写入心』『魚公書画集羲』等30余種がある。
格言:自然に従えば、必ず自我有い。